top of page

商店街の道案内役「大正硝子館 本店」

田口智子

 2024年、全国で初めて、地域独自の「小樽おもてなし認証」制度が誕生。その栄えある第1回目の認証を受けた小樽市内の企業や団体、店舗にインタビューを行い、その業種やお店ならではの「おもてなし」について語ってもらいます。


■大正硝子館 本店


一方通行になっている堺町通りの「入口」側に位置する、大正硝子館 本店。小樽市指定歴史的建造物であり、明治39年建築の名取高三郎商店を利用した「本店」は、時代を感じる趣ある建物ときらめく硝子の魅力が相まって、いつも多くの観光客でにぎわっています。

 

 そんな中、店舗責任者である三浦 正嗣さんが意識しているというのが、「商店街の道案内役である」ということ。「小樽駅や運河側から来るお客さまは、この先どんなお店があるんだろう?という気持ちで、当店に入って来られます。硝子を買う目的がなくてもふらっと立ち寄られますし、実際に、小樽の観光情報や他のお店のことを聞かれることもあります。そんな時、道案内役として、自分たちの店以外もご案内ができるよう心がけています」とのこと。

 

 また、「お店の居心地の良さ」も大切にしているそうで、「グラスなどを手に取り、戻すときにカチャンという硝子の音がすると、お客さまも緊張してしまうと思うんです。その緊張感を少しでも緩和したいと考え、店内のBGMを大きめにしています」と語る三浦さん。BGMはオルゴール音楽なので、決してうるさくはないですが、確かに言われてみるとBGM音は大きめです。硝子の店ならではの、「音」によるこんな気づかいもあるのだと、改めておもてなしの深さを感じました。

 

 そんな店内は、あまり広くないこともあり、「小規模な店内なので、お客さまとの距離が近いんです。だからこそ、こちらから押し売りするようなことはせず、お客さまが何かを聞きたいというタイミングを感じ取り、必要な時にお声がけするようにしています」と語る三浦さん。そんなちょうど良い距離感を大切にしているからこそ、「お会計時は、コミュニケーションを意識しています。入社2年目の若いスタッフも、会計が終わった後にこの後の小樽観光に繋がるような話をしていて、お客さまと良いコミュニケーションを取っているなと感心しています」とのこと。会計が終わったから接客が終了…ではなく、お客さまがこの後も小樽を楽しめるように意識してお声がけをしているということに、本当の意味での「おもてなし」を感じました。

 

 「小樽おもてなし認証」を受けてからも、日本ホスピタリティ推進協会の特任講師・角 俊英先生のセミナーに参加して、学びを深めているという三浦さん。「セミナーを聞いて、これまでは“おもてなし”についてふわっとしていたなと感じました。セミナー後は、「こういう店にしたいね」「こういうことを大切にしたいね」としっかり話し合うことに繋がり、スタッフ間の共通認識を持てたことが効果的でした」と語ります。


 「大正硝子館 本店」は、自分の店のおもてなしにプラスし、堺町通りの玄関口として、さらには小樽観光の案内所の役割も担う意識で「おもてなし」を深めています。こんなお店が小樽に増えていけば、もっともっと、小樽に来られたお客さまの笑顔が増えるのだろうな…と感じました。

 

 

やわらかな笑顔が印象的な三浦さん。他店をご紹介したものの、そのあと戻ってきたお客さまから「一緒に結婚祝いを選んでくれませんか?」と言われて、とても嬉しかったですと話してくれました。
やわらかな笑顔が印象的な三浦さん。他店をご紹介したものの、そのあと戻ってきたお客さまから「一緒に結婚祝いを選んでくれませんか?」と言われて、とても嬉しかったですと話してくれました。

小樽おもてなし認証推進協議会

事務局:一般社団法人小樽観光協会​ 

Copyright @ Otaru Omotenashi Certification All Rights Reserved.

bottom of page