2024年、全国で初めて、地域独自の「小樽おもてなし認証」制度が誕生。その栄えある第1回目の認証を受けた小樽市内の企業や団体、店舗にインタビューを行い、その業種やお店ならではの「おもてなし」について語ってもらいます。
■大正硝子 とんぼ玉館
おこばち川沿いにある「大正硝子館 とんぼ玉館」は、吹きガラスよりも手軽にできる硝子のバーナーワーク「とんぼ玉」づくりが体験できる、小樽で初めての「とんぼ玉」専門店です。
店長の木村 麻知子さんは、入社して12年。毎日、たくさんのとんぼ玉を作り、体験に携わるなか、大切にしているのは「お客さまの初めての感動を、一緒に感動する」ということだそう。「とんぼ玉を作ることは、私たちにとっては日常でも、お客さまにとっては初めての感動です。その想いを同じ気持ちで一緒に感動できるかが大切だと思っています」とのこと。
じつは、常連さんも多いそうで、「札幌から来た幼稚園の女の子は、小学校高学年になった今も年2回は来店してとんぼ玉を作っていきます。これまで作ったとんぼ玉を、大切に宝箱に保管している写真も見せてくれました。他にも、札幌の小学生の女の子が、中学や高校になってからも友達を連れて来てくれています。最初の体験がとても楽しかったことが、その後に繋がると思うと、やっぱり1回目は大事だと実感します」と語る木村さん。
また、一緒にとんぼ玉体験したことがきっかけで付き合うことになったカップルは、その後結婚しご夫婦に。そのご夫婦は、十年以上前に作ったとんぼ玉をチョーカーにして毎日付けているそうで、当然、紐の部分がボロボロになってしまうのですが、それを取り換えに毎年来てくれるそうです。さらに最近は、海外のリピーターも増えていると聞き驚きました。買ったものでは得られない感動や思い出が、とんぼ玉館では生まれていることを感じます。
「でも、前にも来たことを言わない方も多いんです。こちらから気づいて“来てくださって、ありがとうございます”とお声がけすると、とても喜ばれます。以前、ランプを購入したお客さまが、その後、お手紙もくださって。何年越しにまたご来店いただいた時は、あの手紙の方だ!と気づいてお声がけしました。私も本当に嬉しかったです」と木村さん。
以前、バスガイドをされていたという木村さんは、「バスガイド時代があるから、お客さまがどんな気持ちで旅行に来てくれているかがわかるんです。だからこそ、この店に来てよかったな~と思ってもらえるようなおもてなしを心掛けています!」と話してくれました。
パートさんを含め6名いるスタッフに対し、「こういうことをされたら、お客さんも気持ちいいよね!」ということを熱く語っているという木村さん。「おもてなしというのは、注意してやってもらうことではないと思っています。私自身の想いを熱く語ることで、スタッフにも感じてほしいし、それぞれの個性を見ながら、1人1人アドバイスしています」と話してくれました。一生の思い出にもなる「とんぼ玉」を、一緒に感動しながら作り上げる・・・まさに、マニュアルではできない「おもてなし」だと実感しました。

