2024年、全国で初めて、地域独自の「小樽おもてなし認証」制度が誕生。その栄えある第1回目の認証を受けた小樽市内の企業や団体、店舗にインタビューを行い、その業種やお店ならではの「おもてなし」について語ってもらいます。
■小樽 蕎麦屋 籔半
1954年創業の老舗蕎麦屋である籔半。石蔵を活用したシックで趣ある店舗は、多くの市民や国内外の観光客に愛されており、その空間でいただく美味しい蕎麦を求めたお客さまで、連日賑わいを見せています。
現在、店を切り盛りするのは、女将の小川原 ひとみさんと若女将の河野 明香さん。籔半二代目の故・小川原 格氏が小樽と蕎麦屋にかけた情熱を受け、日々母娘でお店に立っています。「20代は京都の料亭で修行し、30歳で籔半に入りました。戻ってからいろいろと大変でしたが、今の籔半があるのはスタッフのおかげ。特に、父がいる当時から働いているスタッフは、本当にありがたい存在です」と語る明香さん。
そんな頼れるスタッフの一人、ホール主任の久保田 小百合さんは、明香さん曰く「気遣いが素晴らしい」そう。「仕事に厳しい分、ミスがありません。なにより、父の想いをしっかり受け止めているスタッフなので、母も私も本当に頼りにしています」とのこと。もう一人のベテランスタッフ北島さんに対しても「お子さんからご年配の方まで、その方に合った接客を自然にしています。子どもさんをあやしたり、接客のスピードをゆっくりにしたり。気づく力が敏感なんですよ」と教えてくれました。
籔半では、会話も大切なおもてなしのうち。メニューに対しての説明も多いため、「忙しすぎると、スタッフも良い接客ができません。少し余裕があるとスタッフも落ち着き、それが良い接客に繋がると思っています」と語る明香さん。たとえば、籔半の「かしわ蕎麦」は親鳥を使っています。「若鶏と違い肉質は硬いですが、出汁が出るんです。注文を受けた際は、硬い肉ですが大丈夫ですか?とお聞きしています。同じようにいろいろと説明・確認をしていても、時にはクレームも出ます。ただ、思っていても言わない方もいる中、勇気を出して伝えてくれたクレームです。ちゃんと受け止めて、二度とそのようなことがないよう、報告・連絡・相談を行い、しっかり共有します」とのこと。
また、籔半では、「アナログ感」も大切にしています。「券売機やタブレット注文など、機械は便利なのでしょうが、1対1でお客さまとお話をしたいんです。注文を取りにいくからこそ、“取り皿が必要”とか“お子さんのご注文は先に”などの情報を得ることもできます」とニッコリ。「新しいスタッフや学生アルバイトさんには、間違った日本語を使わないよう指導することもあります。また、京都の料亭にいた当時に学んだことを生かし"籔半を世界に通用する店にする"という目標に向かってスタッフ一同取り組んでいます。。
籔半には、すでに海外からのリピーターも増えています。「海外の方にも、日本の方と同じような接客ができるよう、ご満足いただけるよう、これからも努力してまいります」と話す若女将の明香さん。日本らしい細やかな気遣いと心通うおもてなしで、これからも多くのファンを魅了していくことでしょう。